和傘について
和傘と洋傘の違いを徹底解説
和傘と洋傘の違いを徹底解説|和傘の大きさを把握して日常を楽しもう
和傘と洋傘には、素材や構造、使い方に多くの違いがあります。和傘は竹や和紙を使用するなど、自然素材ならではの美しさと日本の伝統技術を受け継いでいます。
一方で、洋傘は金属やナイロンなどの人工素材で作られているため、値段の手軽さと高い機能性が魅力です。
この記事では、和傘と洋傘の違いのほかに、和傘の種類ごとの大きさについて詳しく解説していきます。
和傘とは
和傘は、6世紀頃に中国から伝わり、竹と和紙を使って作られる日本の伝統的な傘となりました。当初、和傘は高貴な方の日除けや魔除けとして利用されており、開閉ができない作りのほか、付き人が持つなどといった権力の象徴でもありました。
その後、江戸時代で技術が進化していき、ろくろやハジキといった開閉の仕組みが開発され、近年見かける和傘となったのです。
和傘の種類として「番傘」と「蛇の目傘」が有名であり、番傘は骨が太くて頑丈な作りが特徴です。
一方、蛇の目傘は白く丸い模様がヘビの目に似ていることから名付けられ、細身で繊細なデザインが特徴です。
このように、和傘とは時代の変化を傘1本で感じられる伝統的な職人技となります。
「和傘の詳しい歴史は」こちら
洋傘とは
洋傘とは、日常的に私たちが利用している傘であり、西洋で発展した技術を活用して作られています。洋傘の最大の特徴は、金属製の骨組みに防水加工の布やナイロンを張ることで、耐久性と機能性を高めている点です。
形状が動物のコウモリに似ていることから、明治初期には「こうもり傘」と呼ばれていました。
洋傘は、1854年(安政元年)、米国のペリーが黒船で来航した際に普及したと言われ、当時の黒い洋傘が「蝙蝠傘(こうもり傘)」として紹介されたことで、幕末の日本でその存在が知られるようになりました。
その後、1868年(明治元年)に輸入洋傘の販売を始めた「仙女香坂本商店」が、1872年(明治5年)に初の国産洋傘を製造。これを機に、洋傘は日本国内で徐々に普及していきました。
洋傘は安価で手に入れやすいものなどが多く、近年では軽量化や耐水性、風に強い構造などが進化し、デザイン性も向上しています。
このように洋傘は、時代の変化に素早く適応できるものとなっています。
和傘と洋傘の違いとは
ここからは、和傘と洋傘の素材や骨数などを比べながら、和傘と洋傘にはどのような違いがあるのか、ご紹介していきます。和傘と洋傘の違い①材料
和傘と洋傘の大きな違いは、使用されている材料にあります。洋傘は、ビニールやポリエステル、スチールといった人工素材で作られるのが一般的です。一方、和傘は和紙や竹などの自然の材料を使用しており、伝統的な技術によって作られます。
和傘の材料の和紙は、手で紙をすいている(手漉き)された繊維から作られるため、通気性に優れているのが特徴です。
また、和紙と竹の組み合わせによって美しいフォルムを作れるのも、和傘の特徴と言えるでしょう。
一方で洋傘は、人工素材で作られていることから大量生産ができ、手に届きやすい価格帯のものから存在します。近年では、デザイン性も重視されていることから、日常使いとして重宝されています。
和傘と洋傘の違い②骨数(親骨)
次に、和傘と洋傘は「骨の数(親骨)」が大きく違います。 和傘は、大きさによって違いますが、少なくても16本から最大で50本前後もの竹骨を使用し、和紙をしっかり支える構造となっています。 一方で、洋傘は一般的に8本の骨を使用し、その針金の力で生地を張っています。そのため、和傘は末広がりのすっきりとした形状を描くのに対し、洋傘は丸みがかったシルエットが特徴です。和傘と洋傘の骨数が、ここまで大きく違う理由は材料にあり、和紙自体の強度を補う目的から竹骨の数を増やして耐久性を上げています。
和傘と洋傘の違い③生地の畳み方
和傘と洋傘では、生地の畳み方にも大きな違いがあります。
洋傘は骨の外側に生地を巻き付けるように傘を畳むのが一般的で、よく他の人の傘が洋服にあたり、服が濡れてしまった経験も多いのではないでしょうか。
これは、濡れた生地が折り畳んだときに外側に出るために起こる現象です。
一方、和傘は骨が外側に出て生地が内側に畳まれる仕組みになっており、濡れた部分が内側に隠れるため、周囲を濡らさないという配慮がされています。
このような設計になった理由として、昔からある「心遣い」によって、このような構造になったと言われています。
和傘と洋傘の違い④デザイン性
和傘はシンプルなデザインから熟練の技が光るデザイン、さらにイベントに合わせた柄など多種多様なデザインが施されています。一方で洋傘は、コラボ商品なども多くありますが、和傘のような細かなデザインを施しているものは少ないと言えるでしょう。
和傘と洋傘のサイズ表記との違い
和傘を1本だけでも持ちたいという方も多いと思いますが、サイトなどを見ても「自分に合ったサイズなのか、イメージしづらい」という悩みをお持ちではないでしょうか。普段から利用している洋傘を基準にしても、和傘と洋傘では、サイズの表記方法が全く違うため、購入時には注意が必要です。
洋傘は一般的に親骨の長さでサイズが表記され、男性用は65cm以上、女性用は60cm以上のものが主流です。
一方、和傘は構造上、同じ親骨の長さでも広げた際の面積が洋傘よりも広くなるように設計されています。これは、着物の帯や袖を雨から守るという実用的な目的に基づいた工夫です。
そのため、全長は約70~80cm、広げたときの直径は約110cm前後と、成人男性なら扱いやすいサイズ感で、広範囲をカバーしてくれることでしょう。
また、畳んだときもコンパクトになりやすいサイズは、直径約76cmから約106cmで、女性にもお子さんにもおすすめサイズです。
利用シーンにあった和傘の大きさとは?
ここからは、利用シーンに合わせた和傘の大きさについてご紹介していきます。直径86cm前後 :小回りがきく日傘サイズ
直径86cm前後の和傘は、主に日傘として利用されているサイズです。可愛らしいサイズ感で女性人気も高く、そこまで重くないことから日常使いもできます。
また、乾燥時の重さは約350g程度と軽いため、長時間持ち歩いても疲れにくいのも嬉しいポイント。
お祭りなどの人混みが多いイベントでも小回りが利きやすく、お子さんのサイズ感にもぴったりなことから、親子で和傘を楽しみたい方にもおすすめです。
直径90cm前後:持ち運びがしやすい踊り用傘サイズ
直径90cm前後の和傘は、主に踊り用として利用されているサイズです。絹傘や小番傘などに採用されるサイズ感であり、コンパクトでありながらいろいろなデザインを楽しむことができます。
また、日傘同様に長時間の使用でも疲れにくくなっています。
商品によっては折りたたむことで全体の長さが短くなるため、洋傘と同じように持ち運ぶことが可能です。雨天時でも雨に濡れない程度の直径があるのも嬉しいポイントです。
直径105cm前後の蛇の目傘:おしゃれして楽しむ標準サイズ
直径105cm前後の和傘は標準サイズとされており、蛇の目傘などに採用されています。このサイズは、デザインが豊富なことから和装や洋装を問わずコーディネートしやすく、男性にとっても扱いやすいのが魅力です。
また、雨の日でも濡れにくく「雨天時には絶対に持ち歩きたい!」という方におすすめのサイズです。
撮影用にも適しているサイズ感であり、背景を隠したい場面に被写体が持つことで、余計なものをフレームから外すことができます。
このサイズの和傘は、乾燥時で約500gの重量感があり、使い勝手と美しさのバランスが取れたおすすめサイズと言えます。
直径105cm前後の番傘:和傘の美しさを全身で感じられるサイズ
直径105cm前後の和傘は、大型で重量感があるのが特徴です。このサイズは番傘に採用されており、持ち手が太いなどの特別な雰囲気を味わうことができます。
また、荷物が多くても雨からしっかりと守ってくれるサイズであり、力強いファッションを好む方にもおすすめです。
さらに、このサイズの和傘は親子やカップルで一緒に使用することができるため、着物デートなどにも利用でき、ドキドキを感じられることでしょう。
ただ、このサイズの和傘は乾燥時で約700g、雨天時には約830gと重さがあるため、長時間使用する際には専用の傘袋を使用することがおすすめです。
近年では、伝統的な和傘に現代的なデザインや機能性を持たせた「モダン和傘」もあり、和装や洋装のアクセントとして新しいスタイルを楽しんでいきましょう。
和傘と洋傘の寿命は?
お気に入りの和傘を長く使い続けていくためには、使用後のメンテナンスが欠かせません。特に、和傘は使った後に乾燥させるといった一連の流れを行う必要があります。また、洋傘もしっかりと水気を拭き取るなどのお手入れをすることで、傘の寿命を伸ばすことができるのです。
ここからは、和傘と洋傘の平均寿命と、お手入れ方法を簡単にご紹介していきます。
和傘の寿命は長いと5年から10年前後
和傘の使用年数はお手入れ方法などによって変わっていきますが、和傘の愛用者の中には5年前後ほど利用している方が多くいます。また、お手入れや丁寧に扱うなどを長く続けていくことで、10年ほど使用し続けることができます。
和傘は、製作の工程で素材である和紙に油が塗られているため耐水性があり、雨に濡れることで和紙が糊とともに固まり、使うほどに丈夫さを増していきます。
ただ、経年劣化などによって和紙が破れてしまうこともあるため、日頃から湿気を避け、風通しの良い場所で保管して、和傘の寿命を伸ばしていきましょう。
和紙が破れてしまっても修理を依頼することで、さらにお気に入りの和傘への愛着も深まっていきます。
【和傘の簡単お手入れ方法】
①シャフトを持って水を切る②タオルで優しく水を拭き取る
③陰干しをして乾燥させる
④湿気がない暗い場所で保管
⑤定期的にチェックする
洋傘の寿命は3年から4年前後
洋傘の寿命は、平均で3~4年が買い替えの目安とされています。洋傘の骨組みが曲がってしまうほか、布地が痛んでしまったときが買い替えの目安です。
ただ、和傘と同様に使用頻度や保管の状況によって寿命も変わってくるため、お気に入りの傘を持っている方は、お手入れを日常的に行っていきましょう。
【洋傘のお手入れ方法】
①傘を水・ぬるま湯で濡らす②中性洗剤を使い、スポンジで汚れを落とす
③しっかりと洗い流す
④風通しの良い場所で陰干しをする